gleco・きまぐれ テーマソング 「Prelude in G minor」 Rachmaninov 〉〉
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ikkyo-祭2日目、
美部の展示場の受付のシフトをこなす僕のもとに、
一人のマダムがやってきた。
「あなたが瑛彪さん?」
いきなり名指し!
びびる僕。
「あ、はい。僕が瑛彪です」
何かな何かな・・・クレームかな?
ドキドキしながらマダムの顔を見つめる。
「あなたの絵、ほしいんですけど」
なにぃ
「え、どれっすか?」
マダムが「これ」と指したのは、紛れもなく僕の絵、『自我像』だった。
「あ、これっすか。そんなに気に入っていただけるなんて、僕も嬉しいっす。
どうぞもらってください」
『ほしい』というのは画家にとって最大の賛辞!
有頂天になる僕。
対して、マダムは首をひねる。
「そうじゃありません」
「え」
しまった、図に乗りすぎたか?
「ただではもらえません。おいくらで売っていただけますか?」
ま、まじか!!
一瞬にして顔面蒼白。瑛彪、想定外のハプニング。
瑛彪は、外的報酬を嫌う。
特に趣味では、私的利益のために為すことを極端に避ける。
一番わかりやすい例が、似顔絵だ。
顔を描くのが苦手な瑛彪は、スキルアップのため似顔絵を始める。
そのころ美部では、ikkyo-祭やcoda祭で似顔絵をしよう!という気運が出始めていたので、
それらに混じりて描いていた。
無料でやっていて頃はもくもくやっていたが、
客からお金を取るようになってからは似顔絵から脱退している。
その理由はこうだ。
100円でもいただくとなると、100円の責任が生じる。
自分の絵ははっきり云って似ていない。似顔絵ではない。
100円でも似顔絵は似顔絵、似顔絵が描けぬ自分は抜けるべきだ。
ただし、人手不足になったら随時参加する。
この理由に対する美咲の反論を、参考までにあげておく。
いただくといっても、それらは全て部に還元するので、個人的にどうとかは問題ない。
100円というのは、描いた絵をお客様に渡す際、それを容れるファイル代としてのものだから、実質ただに近い。
美部でAパート(絵描組)にいる以上、似顔絵を描いて部に貢献すべきだ。
さて、このようなポリシーを持つ瑛彪が、果たして自分の絵に値段をつけることができるのか・・・
「ちょっと待ってください。主任に相談してきます」
瑛彪は主任――マフィーの元に駆け寄る。
僕とマダムのやり取りを聞いていたマフィーは、重々しく神託を下す。
「・・・全ては瑛彪さんの意のままに・・・」
まじか!
困る瑛彪。
一向に思考の進展が得られぬまま、マダムの元に戻る。
言葉を待つマダムを前に瑛彪は考える。
ここで「タダじゃなければあげません」なんて云い張るのは、かえって失礼だ。
この方は、僕に価値をつけてくださった。
僕の絵に値段が付くのは、僕はお金をもらうために描いたわけではなく、僕の描いた絵をマダム認めてくれたからだ。
僕がマダムから金銭をいただくことで、
マダムが僕の絵に見出してくれた評価を認めるということになる。
もし、僕がマダムの申し出を拒否したら、
彼女の鑑賞力を否定することになるのでは・・・
お金、もらった方がいいのかな。
美術商の相場を知らぬ瑛彪、恐る恐ると切り出した。
「・・・1000円でどうですか(材料費)」
「まあっ、そんな!」
マダムの口が塞がらない。
しまった、ふっかけ過ぎたか。
「・・・高かったでしょうか」
「いえっいえ、とんでもないです!」
マダムはまた瑛彪に衝撃を与える。
「安すぎます」
まじかよ!!
「じゃあ(2倍で)2000円でどうっすか」
「いえいえ」
「もしかして5000円でも大丈夫ですか」
「まだまだ」
ええ~どこまで上がるんだ!!
値段交渉の場面では値切って値切って値を下げるのが普通なのだが、この場合どんどん上がっていく。こんなセリなんて有りなのかよ~
結局「1枚で勘弁!」ということで5ケタで売約成立。
マジ、恐ろしい経験をした(個人的に)。
けど、「ほしい!」と云われた上に、こんな値段をつけてくださって、感謝してもしたりないぐらいです。
評価する人がいないと価値は付かない。
価値の表出のひとつが値段である。
しかし、絵が売れるということは、絵を売るからであって、どんなにいい作品でも、売らないなら売れない。
絵の価値は、金銭額で計りきれるものではないし、金額という枠にはまってしまうと、その絵の価値が限られてしまうのではないかと思う。
売らない絵というのは、価値が無限に広がっていると云える。
そっちもpraislessな感じでかっこいい。
だけど、僕は売ってしまった。
思えば、半年以上苦楽を共にしてきた、思い入れのある絵だった。
売ったが後悔はしていないし、むしろ嬉しかった。
自分の子供を身売りに出すような感覚だけど、ほしいのなら、どうぞもらってください。
そして、どうか大切にしてください