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gleco・きまぐれ テーマソング 「Prelude in G minor」 Rachmaninov 〉〉

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瑛彪・玄彪
birthday:
1985/08/03
job:
大学生・美術部員
hobby:
図画工作
pr:

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マグリットと
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ねこ科の動物が大好きなやつです

             どうぞよろしく☆




gleco 

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最近紫のパーカー&紫白のボンボン付き帽子でキメるのがお気に入りのNケン、
今日も相棒のミニ径チャリでキャンパスを走りぬく!

そんなNケンに悲劇が・・・
 


 

部室から徒歩10分の講堂前、僕と後輩が歩いていると、
Nケンが自転車をかかえて立ち往生しているのを発見した。


「よ。どうした?」

「いやぁ~、こいでたらチャリが分解した。空中分解ってのを体験したさ」


まいったまいったと頭をかくNケンが手をかけているのは、いつも通りのチャリだった。


「え、どこが分解したの??」

「あ、いま形だけだから。ほら」


手をかけていたハンドルを上に持ち上げると、
グラリと車体が傾き、
本体からハンドルがすっぽり抜け、
前輪がガラリン転がり、
心臓カルシファーが抜けたハウルの城のごとく崩れ去った。

僕が思ったそのまんまのセリフを後輩が呟く。


「あ~。。。これじゃ乗れませんねぇ~」


「・・・修理、ダメかな」


愛チャリ家の瑛彪が一言添える。


「だめだろ~」


鉄くずの小山と化した相棒を見下ろして、Nケンがため息をつく。
たしかに、剥き出しになったサドルやハンドルのパイプは、見事にオレンジ色に錆びきっていた。


「とりあえず、ここから運ぶわ。部室裏に粗大ゴミ置き場、あったよな」

「う~ん、結局捨てるんだね」


とにかくバラけた部品を組み立ててチャリの形にし、押して歩くことにした、が、
タイヤが云うことを聞かない。
右に曲がる曲がる。
Nケン、蹴って方向修正。
タイヤを蹴ること蹴ること。
『チャリ暴行罪』なんてあったら、該当しそうなくらいな勢い。


「俺、持つよ。分解して、持って運ぼう」


見るに見かねて僕が申し出る。

僕がハンドル、後輩がタイヤ、Nケンが本体を持って歩くことになった、が、
それぞれにブレーキチューブがついているため、
僕らはかなり密着して歩かねばならなかった。
歩きづらいこと歩きづらいこと。

しかも休み時間でキャンパスに人が結構いる上に
人通りの多い学食前とか通るので、
「何の行進だろう」という格好の注目の的になってしまっていた。

その状態で、10分以上かけて目的地に到着した。
ちょっとした林を背景に、今日も粗大ゴミ置き場はそこにあった。
日向ぼっこしていたネコが、僕らの登場に驚いて跳ね、林の中に飛び込んでしまった。
その振動がとまっている枝にまで伝わったのか、林の中でカラスが不機嫌に鳴いた。


「じゃあここで」


Nケンがネコがいた脇、洗濯機の横を指した。
僕らはそこに、抱えていたものをやっと下ろすことができた。


人のチャリだけど、いざ捨てるとなると、ちょっと寂しい。
あんなに苦労して運んだだけに、ちょっと愛着が湧いてしまったかもしれない。
でも、僕にはどうすることもできないけれど・・・

 

モノには役がある。

いや、役に立つためにつくられた。それがモノである。

だから役に立たなくなったら、存在の理由がない。
人間が所持する必要がない。

自転車などはわかりやすい。人を乗せて運ぶことができなくなったら、捨てる。

でも、人形など、人のそばにいることが役目のものは、捨てるタイミングが難しい。
飽きれば捨てればいい、必要ないと思えば捨てていい。

そういう風に主体的に存在を抹殺しなければならない物事に関して、僕はものすごく消極的だ。
下手したら、壊れたシャープペンも捨てられない。
長い間のパートナーのような気がするとか、そういう単純な思いがあるからではなく。

モノにモノ以上の役割を課してしまう。
それは、モノを大切にしてるといえるのだろうか。
むしろ、モノを必要以上に縛り付けてしまっているのではないか。

 

「ああ、もう最近ついてねえ。
 原チャもパクられたし、チャリも壊れるし、
  明日から俺、徒歩生活だ」


Nケンはあっけらカンとしている。

 

それでいいのだ。

 

「明日じゃなくて、今からだろ??」


チャリだったものを眺めていた僕は、Nケンを振り返ってからかった。


「先輩、健康的生活ですよ!」


後輩がフォローを入れる。

3人で笑いあった。

 


そうして、僕らは部室へ向かった。

 

 

 

暗い林がざわめく音が聞こえる。

でも、明るい笑い声を掻き消すには至らなかった。


 

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